注文住宅の管理方法
本部は、このような情報のうち本部で供給できるものについて店舗に供給することになる。
そして店舗の担当者は、そこで得た情報を基に仮説を立て、発注量を決定、発注する。
そしてその仮説が間違っていなかったかを販売データで確認して、それを次の発注に活かしていく。
このサイクルが繰り返されるのである。
仮説検証型の店舗発注システムを採用すると、本部は店舗に、その店舗の過去の発注履歴や販売実績、さらには品切れ情報などをタイムリーに提供しなければならなくなる。
また本部レベル仮説検証型発注システムが生み出すメリットでは、仮説検証型の店舗発注システムがもたらすメリットとは何だろうか。
まず第一に、先に述べたように、発注担当者が責任を持って発注を行うという点である。
また、そのことで市場の動きに対して発注担当者自身が敏感になる。
仮説検証型の発注の第2のメリットは、発注担当者が持つ勘と経験のうち有効なものを組織的に発注に活かすことができるようになることである。
一般的に勘と経験だけに頼っての情報として商品売上動向、新商品情報なども提供していくことになる。
このことは、自動発注システムで本部(コンピュータ)が店舗に推奨発注量だけを供給するのとは対照的である。
例えば、ある店の前に国道があり、昔から大きなトラックが店の前を行き来していたとしよう。
そしてそのトラックの運転手の人達がその店を利用しており、さらに店主は、トラックの運転手達が砂糖のきいたコーヒーをよく買うということを経験上知っていたとする。
そこで、缶コーヒーの在庫が品切れしないようにいつも心がけていたとしよう。
仮説検証型の発注ではこのトラックの運転手とコーヒーとの関係がまちがっていないかをチェックして、さらに微妙な発注量の調整をすることが可能になる。
例えば、「30歳から49歳の男性(あるいは女性)」といった顧客層と缶コーヒーの販売量との関係を見ればいいのである。
そして、どのような時間帯に該当する客層の数が増加するか、そしてそれがどの程度の需要量を示すのかをチェックすれば、より精度の高い発注に役立つことになる。
さらに以上のような作業が各店舗で行われる結果、他店でも役立ちそうなものについては本部に吸い上げられ、他店へも紹介されることになるかもしれない。
それは、発注担当者が目に見えない機会損失というロスよりも在庫という見えるロスの方をなくそうと行動しがちだからである。
しかし、発注担当者が持つすべての勘と経験が発注に悪影響を及ぼすわけではない。
発注担当者の勘と経験が、現在の市場の動きと合っているかどうかチェックする手段がないことに問題があるのである。
その意味で、仮説検証型の発注では担当者が自らの勘と経験を検証するためのデータが提供される。
自分の勘や経験が現在の市場の動きと違っていないかどうか、担当者はこれでチェックできるようになる仮説検証型の発注システムの第3のメリットは、保存されている情報を自由に組み合わせて、それを参考に仮説を立て発注することができることである。
例を挙げよう。
女性客が自店の顧客の50%以上を占めるお店を考えてみよう。
時は2月のバレンタイン・デー前である。
2月はバレンタイン・デーがあるためチョコレートが売れる。
一般には、そのチョコレートは女性が買っているものだと思われている。
そこでその店ではチョコレートを普段より多めに仕入れたが、それほど売れない。
他方、店頭で立っていると意外に男性もチョコレートを買っていることに店員が気づいたとしよう。
その店員はコンピュータに保存されている販売データを使って、客層とチョコレートの販売量との関係を調べてみるだろう。
そして実はチョコレートを買っていたのは女性客ではなく主に男性であることがわかったとしよう。
女性はバレンタインのチョコレートは百貨店やチョコレート専門店で買っていたのである。
これを教訓に次にその店員は「3月のホワイト・デーにはコンビニのキャンディは男性客ではなく女性客が買う」という仮説を立てるかもしれない。
そして自店の主要な顧客が女性客なので、キャンディの発注量を普段より増やすかもしれない。
このように店頭の観察と自由度の高いデータ分析を組み合わせることで、市場に迅速かつ積極的に対応していくことが可能になる。
これが仮説検証型の発注の第3のメリットである。
これに対して、自動発注システムではどのようなデータを使って発注量を算出するかがあらかじめ決まってしまっている。
店頭の担当者が気づいた市場の動きをすぐに発注に活かせるようにはなっていないのである。
最後に、仮説検証型の発注システムの第4のメリットは、本部では手に入らない地域に関する細かい情報を発注に活かすことができるということである。
例えば来週の日曜日、近くの塾で公開模擬試験があるとする。
そのような情報はなかなか本部ではわからない。
そして模擬試験の日にはサンドイッチが売れるということがわかっているとしよう。
そのような場合、この「模擬試験がある」という情報は発注に活かされるべき貴重な情報である。
このような、地域でしか入手できない情報も店の発注担当者を通して発注に活かせる、というメリットが仮説検証型発注システムにはあるのである。
以上のような経緯により、POSと同時に仮説検証型発注を導入したSであるが、以後、この発注方法をさらに洗練していく。
例えば、85年には各店舗で販売情報をグラフ化したものを見ることができるパソコン(グラフィックパソコン)を配置した。
そして現在、店舗据え置きのパソコンでは商品の納品時間と納品量、そして品切れ時間をグラフ化し、機会ロスを視覚的に捉えることを可能にしている。
また、店舗据え置きパソコンはバックォフィスでしか使用できないので、店頭でも販売情報を分析し、その場で在庫量を確認しながら発注量を確定できるノート型パソコンも90年に導入している。
以上のようなPOSの導入と仮説検証型発注の導入は、Sがこれまで行ってきた、在庫、売上、利益といった経営数字の継続的向上に貢献してきたのである。
これに対して、平均在庫日数は25.5日から8.0日と3分の1以下に減少している。
単品管理は営業の過程管理そのものであると述べた。
それはこの仮説検証型の発注が、単品レベルでの仮説の構築、その仮説に基づいた発注、そして検証といったサイクルを重視しているからである。
POS導入後、Sでは、業務改革が始まる85〜86年ぐらいから単品管理が本格化する。
そこでは、仮説を持って発注を行い、その結果を検証するという発注の仕方の重要性が説かれるようになる。
以上の流れは、POSが持つ問題点を克服しようとする試みから生まれたものである。
以上のような事態を考えて、「仮説のないところではPOSデータは生きてこない」とS氏は強調する。
そこで発注担当の各人が仮説を持って発注し、POSデータでその結果を検証するという仮説検証の作業の重要性が強調されるようになるのである。
そして、Sでは88年から全店規模で商品の絞り込みが実施される。
本部、加盟店段階という二重のふるいにかけられて、死に筋・売れ筋の選別が進められた。
商品の絞り込みについてS氏は次のように述べている。
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